Kiss me prince~意地悪王子と天然メイド~



やっぱり、声の主はゆーちゃんだった。
手を振りながら近寄ってくる。


…ん? 誰だ、あの男の子。
駆け寄ってくるゆーちゃんと一緒に、一人の男の子が向かってくる。


背は軽く180㎝あると思う。
顔は小顔で、目も眉毛もキリッとしていてスッキリとした顔立ちだ。
世で言う、イケメンって生物かな。


桜庭竜哉もカッコいいと思うけど、この人も相当カッコいい。


…でも、どっかで見たことあるような――。
それもつい最近。



「さゆ、紹介するねっ。こちらあたしの彼氏、佐野慧吾」

「初めまして、白石さん。いつも柚子がお世話になってます」


ニコッと笑って軽く頭を下げる佐野君。
その姿を見て、あたしも「どうも」と慌てて頭を下げる。


ゆーちゃんの彼氏さん!

どっかで見たと思ったら、昨日のメールで見たのか!
一緒にプリクラ写ってた人だ。


ってことは、あの佐野ホールディングスの社長さんか!
うわ――っ、生で見たの初めて!

さすが金持ち学校だな。
日本を代表する大企業の社長さんが、普通に学校にいるんだもん。
普通の学校じゃ、絶対あり得ないことだ。


あたしって、やっぱりすごい学校に通ってるんだなぁ…。
こういう場面に立ちあうと、必ず思う。

入学式のときも思ったっけ。
新入生あいさつをしてる桜庭竜哉を見てね。
まぁ、そのときはお嬢様方の歓声が凄過ぎて、ヤツのあいさつの内容はよく覚えてないんだけど。


「白石さん、竜哉のとこで住み込みで働いてるんだってね」


「えっ…、なんでそのこと?」


まさかっ!と思い、ゆーちゃんを見る。
でも、ゆーちゃんは思いっきり首を横に振り否定。


…じゃあなんで?
あたし、この人と会ったことも話したこともないのに…。


「あっ、言ってなかったね。俺、竜哉とは仲良くてさ。アイツから聞いたんだ」


へ~…。
桜庭竜哉と仲良いんだ。
アイツでも友達いたんだね。



< 31 / 34 >

この作品をシェア

pagetop