攪恋慕~かくれんぼ~
ざわざわと慌ただしく、鮨詰めのようになっている列車が右往左往する最中、その混沌とした帰宅手段を選ぶ人々に埋もれ、ボーッと突っ立っている自分は、他人から見たらどう映るのか。

一人一人が特別、オンリーワン等と謳うのならば、それがこの日常の中においてサッと頭を過る人が何人いるのか。

何処も彼処も真っ暗闇の僕には、ノイズにしか聴こえない。

ほぅ。

溜め息を吐いた。





その刹那。





そのノイズの中に。





カツカツと。





割り込んでくる、音があった。





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