攪恋慕~かくれんぼ~
紗智④
「……ん、高橋さん。」
「え?」
気が付くと僕は俯いたままフォークを回す手を止めていたようだ。
パスタは絡み付いたまま、冷めてしまっている。
「どうしたんですか?気分でも悪くされました?」
「あ、いや……そういう訳じゃないんですけど……。」
いつもの埋め合わせをする為に僕から誘った筈なのに、これじゃあ反って気を遣わせてしまったようだ。
僕は一度ナプキンで口を拭うと、話を変えようとした。
「それはそうと、室井さんは兄弟とかいらっしゃるんですか?」
完全には頭の中から消し去れていない、回想を引き摺ったままの質問。
これでは余計に自分の首を締めるのではないか。
しかし、室井さんは別段気にした様子もなく、すんなりと答えた。
「ええ、兄が一人。」
「へぇ、初耳だな。僕にも妹が居……るんですよ。」
危うく「た」と言いそうになり、軌道修正した。
室井さんは、そうなんですかと答えた後、続けてこう言った。
「実は、兄と高橋さんは同い年ぐらいなんですよ。」
「へ、へぇ。」
ドクン。
妙な期待を抱いてしまい、心臓が高く鼓動する。
「え?」
気が付くと僕は俯いたままフォークを回す手を止めていたようだ。
パスタは絡み付いたまま、冷めてしまっている。
「どうしたんですか?気分でも悪くされました?」
「あ、いや……そういう訳じゃないんですけど……。」
いつもの埋め合わせをする為に僕から誘った筈なのに、これじゃあ反って気を遣わせてしまったようだ。
僕は一度ナプキンで口を拭うと、話を変えようとした。
「それはそうと、室井さんは兄弟とかいらっしゃるんですか?」
完全には頭の中から消し去れていない、回想を引き摺ったままの質問。
これでは余計に自分の首を締めるのではないか。
しかし、室井さんは別段気にした様子もなく、すんなりと答えた。
「ええ、兄が一人。」
「へぇ、初耳だな。僕にも妹が居……るんですよ。」
危うく「た」と言いそうになり、軌道修正した。
室井さんは、そうなんですかと答えた後、続けてこう言った。
「実は、兄と高橋さんは同い年ぐらいなんですよ。」
「へ、へぇ。」
ドクン。
妙な期待を抱いてしまい、心臓が高く鼓動する。