攪恋慕～かくれんぼ～
相手はピクリと反応したが、何も応えてはくれない。

それならそれで良い。

相手が喋る気になるまで、僕が勝手に話すだけだ。

まず、こう切り出した。

「最初に違和感を覚えたのは、二度目に会った時。あの時、僕は視覚障害者だという事を伝えている筈なのに、慣れない場所で待ち合わせさせられたり、引っ張り回されたりと、初めは何を考えているんだろうと思ったよ。」

視覚障害者は、当たり前だが目が見えない。

単純に、目隠しして知らない土地を歩けるだろうか。

目隠しした状態でいきなり引っ張られたら、ビックリしないだろうか。

これは視覚障害者に対する行為としては、駄目な事だ、当たり前だが。

考えて欲しい、貴方の目の前に視覚障害者が居て、まだ出会って間もない方だとして、それが平然と出来るだろうか。

出来るとしたら、あまり常識の無い人か、考え無しだ。

それも相手から、「これこれはしないでくれ。」とお願いされているのに。
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