それでも憎らしい君が好き。



目が潤みながらもアタシは、目の前の男を睨んだ。


すると男は、

『ごちそうさま』

なんて言いながら不敵な微笑を向けてきた。



アタシは一人俯きながら、肩を震わせた。


『.......だった..のに』


『はい?』


『ファーストキスだったのにぃぃぃ...うぅっ..』


なんて言うと、中々感情を表さない男が一瞬だけ瞳の中を揺らした。
これは焦っている証拠だ、なぜだかアタシは確信できた。

                                    
< 32 / 57 >

この作品をシェア

pagetop