慟哭の彼方
両親に縛られて、この家に縛られて、この家の空気にも縛られて。
あたしは、あたしを縛らない世界が欲しい。
「あたしはお父さんもお母さんも選びたくない…」
娘にエリート街道を進ませたい父親。
彼の前では、ちょっとの非行も許されない。
彼の作った道を進むことが、彼にとって最大の善行だった。
世間体ばかりを気にする母親。
娘を庇うフリをして、本当は世間に同情されないように必死なのを、あたしは知ってる。
みんな、みんな、自分のことばっかりだ。