慟哭の彼方


お父さんもお母さんもどっちも大事だから選べない。

そんな美しい言葉が出てきたらどれほど幸せだろう。


そうじゃない。
あたしは、自分の翼を広げられる場所が欲しい。


自由に、なりたいんだ。


「あたしは、こんな家にいたくない…っ」


泣きながら家を飛び出し、さっきの手紙を部屋に置きっぱなしだったことに気付いて激しく後悔する。

お金も無い、友達にはこんなこと話せない。


行ける所と言ったら、あそこしかなかった。


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