慟哭の彼方


泣いて腫れぼったくなった目を隠そうともせず、彼女は店の外まで出て彼の姿が見えなくなるまで丁重に見送った。

きっとこれが、一番いい方法だったと信じて。


「…さて、」

チェルシーと目が合った瞬間、ぎくりと体が強張る自分がいた。

長い前置きを覚悟していたし、それこそまた邪魔が入るのではないかと思っていた。

いや、それを期待してさえいた。


「あなたの、願い事は?」

いきなり投げかけられたお決まりの文句に戸惑いを露わにしつつ、彼は口を開く。


どうか、どうかお前が。



「チェルシーが幸せになりますように」

今度は彼女の瞳が動揺に揺らいだ。


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