慟哭の彼方


ずっとそれだけを願ってきた。

チェルシーがどこまでも他人の幸せを願うなら、自分は彼女の幸せを望んできた。


けれど何もかもうまくいかない。

誰かが幸せになり願いを叶えるたび、それを手伝った彼女はひどく疲弊する。


俺は誰にも不幸になってほしくない。

まして、一番大事な彼女には。


「チェルシーが幸せになるなら俺は何もいらない」

この店だって捨てたっていい。
何もいらないから、だから。

「もう無茶なことはしてほしくないんだ。こんなに疲れてボロボロになってほしくない…」

ダメだ、もう無理だ。


「好きなんだ」

この立ち位置に想いなんていらないと言い聞かせてきたのに。


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