慟哭の彼方


青年が歯がゆそうに地団太を踏み、チェルシーを睨みつける。


「お前はなぁっ、お人よしすぎるんだよ!魔法使うたびにぐったりしてるくせに、次から次へと受けやがって…っ」

「アルス…、ぐったりしたら仕事をしてはいけないのか?」

「当たり前だろ!」

「人のために働くことが本望でも?」


そこまで言われたら、彼も何も言えなかった。

アルスと呼ばれた青年は頭をがしがし掻きながらうなる。


意地悪をしたいわけではない。

ただ彼はどうしようもなくチェルシーが心配だったのだ。


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