慟哭の彼方
彼女は手元にあったノートを広げ、アルスに見せる。
そこには今まで依頼人が彼女に託してきた願い事がすべて記されていた。
けれどもそれを見て、アルスは顔をしかめる。
「…なんだぁ?これ」
そこにあったのは、常人の頭では到底理解できないようなものだった。
“夢や希望を、持てなくなりますように”
マイナスにも程がある願い事だったが、依頼人は気付いているのだろうか。
ここに来ることこそが、夢や希望を求めているのだと。