慟哭の彼方
それにしても彼女はとても悪趣味だ。
そこらの他人の願い事を聞き入れた上に、それをきっちりノートに書き記して記録しておくなんて。
そう言うと彼女は、「人間学だ」などと言って笑うのだが。
願い事の不可解さとチェルシーの悪趣味さにため息をついた所で、派手な音を立ててドアが開いた。
「助けて!あたしを、あたしを、助けて…!!」
何者かに追われているのかと周囲に視線を巡らせたが、どうやらそうではないらしい。
そこには髪を振り乱して涙で顔をぐしゃぐしゃにした、つり目の少女がいた。