慟哭の彼方
さっきまで和やかだった空気が一気にぴりりと雰囲気を変える。
「どうした?オレの店に何か用か」
チェルシーがそう言いながら近づくと、リイアはびくりと肩を震わせながら困惑した表情で首を傾げた。
「え?オレ、って…男?いや、でも、女の人…いや、そんなこと言ってる場合じゃなくて」
チェルシーは女性にしてはかなり珍しい一人称を使う。
それにはちょっとした深い理由があるのだが…、今の彼女には言葉は伝わらないようだ。
1人で何事かぶつぶつ呟きながら、しきりに視線を泳がせている。