慟哭の彼方
「魔女って、あなたのこと?」
温暖な気候に恵まれたこの土地は、珍しく雨模様だった。
そんな時にいきなり店のドアが開いて何事かと思えば、そこにはつり上がった目をした少女がいた。
いきなりの無礼な態度に気を悪くするでもなく、店内にいた女性は薄く微笑む。
「そうだが、何か」
煌めく銀色の長髪をもつ、美しい女性だった。
けれどもあちこち絵の具にまみれているせいで、その美貌が少し間抜けに見える。
「あなたの絵を見たら、願い事が叶うって聞いた」