慟哭の彼方


「願い事とは、そう願うことで本人が楽になれるようするものだ。だけどあなたは、この願い事を叶えて楽になれるのか」


彼女の言葉が頭を駆け巡る。

だって、楽になりたいからベッドの中で何日も考えた。


どうすれば一番楽になれるのか。

一番楽になれる願い事は何か。


それは、「愛」を忘れてしまうことだった。

「よく考えてみろよ。夢や希望を捨てた時、最後に残るものが何なのか」

魔女の側にいた青年が苦しげな顔で呟く。


後に残るもの、は。


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