慟哭の彼方


彼女はまだ絵を手に入れていないし、見てもいない。

だから願い事を変更することもできるはずだと考えた。


チェルシーの曇りのない視線がリイアを射る。

緊張に耐えかねてごくりと唾を呑みこんだところで、彼女は微笑んだ。


「あなたの願い事は?」

厳かで、低く響く声。

けれどそれは最初に聞いた時よりもずっと柔らかい声だった。


そう思ったのは、どうしてだろう。

「あたしの願い事は――」


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