慟哭の彼方
走る、走る、転がるように。
駆ける、駆ける、転びそうなほど。
きっと今なら、プラスの行動を起こした今なら、世界が変わって見えると思って。
家の前で少しだけ足踏みして躊躇してしまい、自分を叱咤しながら中に入る。
「た、ただいま」
両親には、こっぴどくしかられた。
そして、泣かれた。
自分たちが子どもに愛されていなかったという現実を突き付けられて。
それ以上に、自分たちが子どもに捧げる愛を忘れていたことに気が付いて。
ごめんね。
両親に言われたその言葉は、驚くほどすんなりと少女の中に入ってきた。