慟哭の彼方
「てめぇが魔女か」
店に入ってすぐに視界に入った後ろ姿。
地に着きそうなほど長い銀色の髪は、さすが魔女としか言いようがない。
力を見せつけるような言い方をしておいて、実は恥ずかしいぐらい心臓は早鐘を打っていた。
振り返ったその顔が、恐ろしい老婆の顔だったらどうしようかと。
「そうだが、人に質問をする時はもう少し丁寧に言ったらどうだ?」
だが、そんなものは杞憂だった。
そこにいたのは予想とは正反対の、見とれてしまうぐらい美しい容姿の持ち主だった。