慟哭の彼方


次の言葉を繋ごうと開きかけた口が、思わず止まってしまう。


「あ…」

「?どうした」

「あんたの絵を見ると、願い事が叶うんだろ」

やっとの思いで振り絞った勇気の塊を、彼女は切って捨てるように即答する。


「叶わない」

「は…はぁぁ!?」

うっとうしそうに彼女が目を細めたところで、背後のドアがいきなり開く。

もしかして次の客か?


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