慟哭の彼方
彼女の前には小さなキャンバスがあった。
そこにある絵は、線の一本一本は雑なのに妙な美しさを持った絵だった。
なぜだろう、思わず笑顔がこぼれてしまうような。
「見るだけでは願い事は叶わないよ。購入して、常に手元に置いておく必要がある」
「え。購入、って…。金取るのか」
いきなり顔を出した現実的な話に眉をひそめると、彼女は小さく笑んだ。
「そうだな、その話はまた後でしようか」
そして急に低くなった声。
「あなたの願い事は?」
「俺の願い事は…」