慟哭の彼方
「安心しろ、ガキから金は取らない」
ガキと言われたことに苛立ちを覚えながら、しかし彼女は安堵する。
もし法外な金額のお金を迫られたらどうしようかと身構えていたのだ。
彼女が想像していたよりもずっと穏やかに魔女は微笑み、店の奥から小さな額縁を持ってきた。
それは手のひらに収まりそうなほどの、小さなものだった。
「絵はこのぐらいの大きさになる。ただし一度絵を渡してしまえば、二度と同じ依頼人には絵を描かない。いいな?」
「え、あ、うん」
しどろもどろになりながら頷くと、魔女は急に声を低くして訊ねた。
「あなたの願い事は?」
「あたしの、願い事は…」