慟哭の彼方


独特の空気が漂う店内には、今日も絵の具の匂いが充満している。


相も変わらず絵筆を握る彼女の隣には、いつもの青年がいた。

「なぁ、チェル」

また勝手に依頼を受けたので怒られるのではないかと思っていたが、それを聞いて安心する。


彼が「チェル」と自分の名前を略す時は、少なくとも怒ってはいない。

「あの人、どうなったかな」

彼が示す「あの人」というのが誰を指すのかは、チェルシーもわかっている。


「きっと、幸せだよ」

チェルシーが開いたノートには、先日受けた願い事。

“絶対に嘘が、つけなくなりますように”

その願い事の下には、こうあった。



“心からの親友ができますように”


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