慟哭の彼方
ハイゼルの後にやって来て、その上どうしても彼より早く絵を仕上げてほしいと言った少年の姿を思い出す。
優しい雰囲気を持った細い目が浮かんで、消える。
2人の友情を取り持ったものは果たして、本当に魔女の絵だったのだろうか。
どれほど魔法が強力だとはいえ、それだけで解決できないことが山のようにあるのを彼らは知っているのだろうか。
もしも彼が心からの親友を手に入れたとするのなら、それは間違いなく彼自身の強さによって得たものだ。
アルスがテーブルに肘を付きながら不満そうに言う。
「でもさぁ…。4年も嘘をつき続けられて、許せるものなのか?」
「きっと知っていたのさ」
ハイゼルが嘘をつき続けている苦しみも、悲しみも。
「親友」である彼にはお見通しだったのだろう。