慟哭の彼方
そんな彼女に、しかし銀髪の魔女は笑う。
「まったく、どこからそんな噂が流れたんだか…。“見るだけ”なら効果は無いが、購入して常に手元に置いておけば効果はあるよ」
途端、マイラスの表情が輝く。
それは単に喜んでいると言うよりは、やっと一息つける場所を見つけた安心感に近いものだったと思う。
「ただし、注意点がいくつかある。これを守ってもらわなければ依頼は受けられない」
厳しい表情でそう言われ、マイラスは背筋を伸ばす。
魔女の正面には小さなキャンバス。
そこには眩いばかりに煌めく黄色の絵の具がふんだんに使われた絵があった。
なぜだろう、これを見るだけで正直な気持ちになれそうだ。