慟哭の彼方
「まず、いかなる時も手元に置いておくこと。一日でも絵から離れたら、あなたの願いは二度と叶わない。
そして、この絵を手に入れてしまえばもうあなたの依頼は受け付けられない。
最後に。一度絵を見てしまえば願い事は取り消せない。…以上だ」
ひとつひとつの約束事を咀嚼するように何度も頷き、マイラスはじっと黙りこむ。
なるほど、これはかなりリスクが高い。
一生に一度しかできない願い事。
普通の人なら何を願うのだろうか。
誰かに権利を託すのか、誰にも明かすことなく墓まで願い事を持っていくのか、それとも早急に決め付けてしまうのか。
アーモンド型の瞳と赤茶色の髪を持つこの青年は、自分の願いを叶えたのだろうか。