慟哭の彼方
小さくため息をつきながら鏡を見ると、そこにはとても疲れた風貌の女性がいた。
ステージの上で有名デザイナーの服を着て笑う女優の姿はどこにもない。
恐ろしい程の変貌ぶりに再びため息をついて郵便物を取りに行くと、見慣れない封筒が入っていた。
キラキラした飾りも何も無い茶封筒。
だけどそれが、今のマイラスをひどく安心させた。
もう少しだけ笑顔でいようと思った。
文面は、依頼された絵ができたから取りに来てほしいというもの。
外の暗さを見て少し迷ったが、マイラスはコートを羽織るとすぐに外へ出た。
胸は、どうしてか弾んでいた。