慟哭の彼方
テレビの中の彼女たちは、ただただ美しかった。
別世界にいるようだった。
自分も女優になれば現実から逃げられるのだと、信じていた。
「小さい時の記憶って、なかなか消えないです。それこそ、いじめられていたなんて暗い歴史は特に」
今でも夢に出てくるほど鮮明に覚えている。
優しさの欠片も無い眼差し。
生ごみを見るのと大差ない目で、ひどい扱いを受けた。
誰かの優しさをいつだって正直に信じて、そのたびに裏切られて。
綺麗な世界があると思っていた、バカな自分。
「別世界に行きたかった」
でも、ずっと憧れていたそこは。
「世界中のどこより、現実に近かったです」