慟哭の彼方
一度絵を見てしまえば依頼は取り消せない。
その忠告が頭をよぎる。
孤独だった世界の中で、誰かに甘えたかっただけなんだ。
人生で最後のお願いをしに行った店に優しい人がいたから、頼んでみただけ。
どうかあなたたちだけは私を忘れないでくださいと。
本当はわかっている。
この願い事が叶うことで楽になれるのは自分だけ。
願い事を叶える手助けをした彼女も、自分とろくに関わっていない青年も、私のせいで長い間苦しむことになるのだろう。