慟哭の彼方
案の定、もう泣き飽きるほど泣いた彼女の目からは、また涙が零れ落ちる。
零れ落ちる、と言うよりは垂れ流すに近いほど。
「俺はもう嫌だ…」
善意で動いているのに、彼女の体力と精神はどんどんすり減っていく。
嫌なんだ、大切な人が壊れていくのを止めることもできないのは。
「アルス…」
チェルシーだってわかっていた。
この店を開き、運営していく中で、アルスがいい顔をしないこと。
彼の口から出てくるのは自分への忠告ばかりだということ。
彼が、チェルシーのことを誰よりも案じていること。