きゅんきゅん同盟
「ねぇ、高校生の男の子ってあんなに大人っぽかったんだね。」
樋口涼子が、空を見上げながらつぶやいた。
涼子は、同じ年だと思えないくらいに大人っぽくて、色気がある。
化粧のせいなのか、見つめられると吸い込まれそうな魅力的な目をしている。
「そうだね・・。年下って思ってたけど少ししか違わないもんね。意識しちゃだめだってわかってるんだけど、男って感じするよね。私、ちゃんと授業できるかな。」
私は、持っていたミルクティーを一気に飲み、子供のように音を立ててしまった。
ズズズズ…
「まこちゃんって呼んでもいい?せっかく同じ時期にここで会えたんだもん。仲良しになりたいな。」
まっすぐに私を見つめてくれる涼子に、私も好感を持っていた。
同じように、友達になりたいと思っていた。
「まこでいいよ。涼子って呼んでいい?一緒に頑張ろうね。」
会ったばかりなのに、涼子とは、これからもずっと友達でいられるような気がした。
早速メアドを交換して、午後の授業へと向かった。
昔と同じ滑りやすい廊下。
早足で教室へと急ぐ。
私は心に決めた。
『私は先生になりたくて、ここにきた。恋は、あきらめよう!』
背筋をピンと伸ばして、気合入れなおす。