きゅんきゅん同盟


ガラガラ。



乱暴に保健室のドアを開ける音がした。



ビクっとして、手を離し、陸は立ち上がった。




「里中君、入っていいか?」



聞きなれたその声は、私を不快にさせる。


あいつの声。


カーテンを開けて、ぎょろっとした目で中を覗きこむ。



「バスケットボールが頭に当たったそうじゃないか。病院行かなくて平気なのか?」



横目でチラリと陸を見てから、私を見る城山。



「お前が当てたのか!!本当にお前は問題ばっかりだな。何かあったらどうするんだ?」



城山なんて大嫌い。


すぐに生徒に対して、決め付けた言い方をする。


お前は~だ、とかいつもお前は~だ、とか…



人は見える部分が全てじゃないんだよ。



人間は壁に張られた絵のように、前からしか見えないものじゃないんだよ。



後ろからも下からも、上からも覗き込んで、

時にはツンツンと触れて、

周りを何回もぐるぐる回って、

その子のことをちゃんと見れる教師になりたい。





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