きゅんきゅん同盟
「城山先生、神崎君のせいじゃないですから!!普通ならよけれるのに私ボーっとしてて。」
城山と目を合わせることなく言った。
「神崎、どうせみんなにキャーキャー言われて調子に乗ってたんだろう。たいしたけがじゃなかったからいいが、何かあったら里中君の大学にどう説明するんだ。」
調子に乗って?
大学に説明?
やっぱりあんたはそういう奴。
私を心配しているわけじゃない。
相変わらず、言葉のあちこちにムカつくポイントがあるヤツ。
「すいません。俺のせいで。今日は僕が里中先生送って帰ります。」
うつむいて、顔を上げようとしない陸。
陸は城山が苦手なんだね。
ごめんね、私のせいでひどいこと言われて。
「お前は頭がおかしいのか?頭打ってしんどい人間を自転車で送るのか?神崎は、もういいから、授業に戻れ!私が、里中君を車で送るから。」
ちょ、ちょっと待って!!
そんなの絶対いや!
陸…すごく悲しい顔してる。
「あ、そっか。俺自転車か…すいません。そこまで考えてなくて。じゃあ、よろしくお願いします。」
陸は、一度も城山の目を見ることなく、そう言ってカーテンの外へ出て行った。