きゅんきゅん同盟


「歩けるか?2人乗りはまずいよなぁ?」



自転車の鍵についたくまさんが微笑んでいた。


「歩けるよ!ごめんね…」


申し訳なさそうな顔をした私に、言う。



「ごめんは禁止!!俺が送りたいから送るだけだから!」



俺が送りたい… 

その言葉にドキドキした。




電車なら10分くらいの道のりを、自転車を押しながら2人でゆっくりと歩いた。


夕暮れの町は、どこかの家からの美味しそうな夕食の匂いがする。



「腹減った。カレーパン食いたいな。」



ちょっと甘えた陸のその言葉に、コンビニでカレーパンを買っちゃう私。


「おごってくれるの?サンキューな。いつか倍返しするから。」


サンキューな…

って言った時の顔が、すごく優しくて、胸がキューって掴まれるように苦しいよ。


「一口ちょうだい。」


なんて私も甘えてみる。


「ほい!」



かじりかけのカレーパンを…

私の口にくっつける。



パクってかじっちゃった…



その後、そのカレーパンを無心に食べてる陸に私はどうしようもなくときめいてる。



ねぇ、今の間接キスって言うんだよ?




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