きゅんきゅん同盟
「城山が、姉貴のこと軽いとか言っただろ?実は姉貴は、夜は水商売で働いてて、そこに客として城山が来たんだ。それを、あいつは高校の先生みんなに話した。だから、俺あいつのこと許せないし、教師だなんて思えない。」
歩く速度はさっきよりもゆっくりで、そのせいか陸の声もよく聞こえる。
「そんな…ひどいよ!!」
「姉貴は軽い女なんかじゃない。結婚して子供産んで、その後離婚したから生活の為に夜の仕事してるけど、ちゃんと子供も育ててるし、もう男作る気もない。娘の為に必死で働いてる。でも、城山は元教え子の姉貴に客として近寄ってきた。」
陸はふ~っと息を大きくはいた。
そして、夜空を見上げた。
「俺、そういうとこ理解できないんだ。普通元教え子をそんなとこで見かけたら、どんな事情があるか相談に乗ったりするんじゃね~?あいつ、そんなこと聞かないで毎晩通って口説いてた。姉貴が店のママに言って、断ってもらったら、その次の朝に…職員室で俺の姉貴の話したんだ。」
「それって、自分がふられた腹いせだよね。最低!!」
頭に血がのぼる。
怒りで手が震えそうになった。