きゅんきゅん同盟


かえでちゃんの話をする陸はなんだか母性本能をくすぐる笑顔になる。


「へー!!すごい会ってみたいな。私も物心ついた頃から、熱い女だったんだよ。」


目を細くして微笑む陸が、また私の頭に触れる。


「熱い女…か。じゃあ、かえでもお前みたいに正義感の強い女になるんだろうな。今まで、あいつ苦労してきたから。」



「そっか、お姉さん離婚したんだもんね。」


だんだん家に近付くことが寂しくて、歩幅を狭くした。



「別れた父親は借金もあって、その上姉貴に暴力をふるったこともあった。そばで見てたかえでは、泣くより前に怒ってたんだって。どうしてお母さんにそんなことするのって。まだ3歳だったのに。」



3歳くらいだと思っていたかえでちゃんはもう5歳だと知った。



泣けてくる。

あんな小さな体で必死に陸にくっついてたかえでちゃん。



本当のお父さんから受けられなかった愛情、陸にもらってるんだね。



自分のお母さんが目の前で殴られるって、今の私でも耐えられない。


そんな小さな頃にそんな傷ついたんだ。





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