きゅんきゅん同盟
神様のばか。
せっかくあきらめようと決心したのに。
こんなことってアリ?
この『ドキドキ』と『きゅんきゅん』が、普通じゃないことは、確かなんだ。
だって、初めてだから。
こんなにも時間が止まったように、その瞬間が輝くことって初めてだった。
「ごめんね。大丈夫…あなたの方こそ…」
落ちたノートを、少し震える手で拾いながら、必死で言葉を探す。
何を言っていいのかわからずに、顔を上げると、もう彼はそこにはいなかった。
廊下で髪の毛をかきあげながら、友達と笑いながら話しているんだ。
さっきまで目の前にあった彼の顔がもうあんな遠く…
あ~・・せっかくのチャンスだったのに。
って・・・だめだめ!!
あきらめるって決めたんだった。
そう思いながらも、担任の先生からもらった名簿を見ながら、
彼の名前を…想像してる。
「りく~、今日カラオケいかね?」
廊下に響き渡る男子生徒の声に、ビクっとした。
「あ~、俺今日は帰る。また今度な。」
低いその声。
り・く・・・・って言うんだ。
ドキドキする気持ちを抑えて、落ち着いて名簿を見る。