きゅんきゅん同盟
陸は右手で床を殴った。
「ちきしょ…」
気持ちを抑えた低い声が悲しかった。
「陸、俺達…お前と同じ気持ちだからな!みんなお前の味方だから!」
龍之介が陸の肩にそっと手を乗せた。
「やっちったな…俺、退学かな。ははは…」
陸は机に手をかけて、立ち上がりながら力なく言った。
無理した笑顔が悲しくて、陸の顔をこれ以上見るのが辛い。
みんなが陸の周りに集まり、声をかける。
「大丈夫だよ!!」
「そうだよ、悪いのは城山だから大丈夫だって。」
「俺ら、ちゃんと先生に説明するから!」
「そうだよ。お前を退学なんかさせないからな!」
青春ドラマみたいだ、なんてその様子を眺めていた。
私が殴れば良かった。
陸の代わりに私があいつを殴りたかった。
私、退学にもならないし、教育実習の失敗くらいで人生を棒に振ることもない。
でも、もし陸が退学になったら…?
いろんなことを抱えてる陸。
一生懸命生きてる陸の未来を摘まないで。