きゅんきゅん同盟
「おう。おはよ~!」
陸が教室に入ってきた。
「おぉ!!お前、やっと彼女作る気になったのか?」
「ベストカップル誕生だな!」
サッカーボール片手に、あくびをしながら登場した陸に、冷やかしの声が飛ぶ。
「もういいって…」
面倒くさそうに、陸はボールを地面に転がした。
どこか嬉しそうにも見えるその顔に涙が出そうになる。
龍之介が苦笑いを浮かべながら、私の席に近づいてきた。
「取られちゃったよ。陸に…」
龍之介は視線を陸の方に向けたまま、呟くようにそう言った。
龍之介、レナのこと好きだったんだ。
知らなかった。
じゃあ、演技じゃないんだね…
これは、龍之介と陸で考えた『私を守る為の嘘』じゃないんだ。
陸は、レナを好きになったんだ。