きゅんきゅん同盟
第23章(涙)



これで良かったんだ。


私はただの実習生。


ひとときだけの存在。




教室の中には、耳障りな程、レナの声が響いていた。



「ねぇ、陸って呼んでいい?」



甘えた声で陸に話しかける声。


聞きたくないけれど、聞こえてしまう。

この部屋を出たいけど、やっぱり気になって聞いてしまう。




私はこの実習の為に母からもらったシャーペンを握り締めた。

昔、母が大事にしていた思い出のシャーペンだった。




カチカチカチ…


芯が途中で出なくなった。





『陸って呼んでいい?』の返事を聞きたくなくて、

シャーペンのカチカチに集中する。






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