きゅんきゅん同盟

神崎陸は、そんな私の期待も知らずに、そのまま私達の輪の前を通りすぎた。



あ~あ。

行っちゃった。



「明日頑張れよ、授業!」


通り過ぎた神崎陸が、

振り返って私に言ったんだ!



鞄を肩にかけて、顔だけを私の方に向けて。


思い出したかのように、振り向いた彼。



優しい彼だから、きっと最初から『頑張れ』を言ってくれるつもりだったんだ。



そうだよね?


彼の茶色い髪が、キラキラと輝いて見えたのは、私が彼に恋をしたから?




固まって動けなくなった。


何も返事できないまま、ただ彼を見つめていた。



神崎陸は友達の所へ、走り出す。



神崎陸。


かんざきりく。


カンザキリク。



ありがと。


神崎陸の『頑張れ』が、何よりも私をやる気にさせる薬だよ。



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