きゅんきゅん同盟


梅雨だと言うのに、雨が少ない今年。

置き傘が並ぶ下足室の横で、待つ実習生達。


体育館での挨拶は、おそらく私の人生で一番の緊張の瞬間。


高校時代、仲の良かった先生が言っていた言葉を思い出す。


『中途半端な人数の前の方が緊張する。あまりにも多いと逆に緊張しないんだ』


その言葉を信じて、重くて錆びかけている扉を開ける。



一斉に向けられる視線に、心臓が高鳴り、手に汗がにじむ。

顔が赤くなっていることが自覚できて、ますます恥ずかしくなる。


ペタンペタンと音を立てるこのスリッパも、昔のままだった。


舞台の上に上がった私達実習生のあまりの緊張ぶりに、校長先生が気を利かせてくれた。

全員で、お辞儀をしただけでその場での挨拶は省かれた。





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