きゅんきゅん同盟


「こんなに短い期間でもこんなに寂しいんだから、3年間過ごしたみんなはもっともっと寂しいと思う。

来年になって、1月や2月になると、毎日見ていた校庭の木や、教室の黒板までもがすごく愛しく感じるようになる。

毎日写真撮るようになる。

ここでの日々を少しでも形に残したいと思う。

でも、それに気付くのは卒業がほんのすぐそばまで来てからなんだ。

もっとああしておけば、とかもっと一生懸命やっておけば…って後悔するかも知れない。

でも、後悔したときには、もう卒業がすぐそばまで来ているんだ。」




それは自分自身が体験したこと。

卒業が近くなってから、たくさんの後悔をした。


もっと一生懸命勉強すれば良かった、

好きだった人ともっと話せば良かった…そんな後悔が山のように溢れて、最後の1ヶ月くらいは本当に忙しかった。



「高校生ってとても不安定で傷付きやすい。でも、無限の可能性を持ってると思うんだ。

今、自分が将来何をするか決まってる人なんてほんの少しだよね。

みんな将来が見えなくて不安で、見ないフリしちゃったりして、毎日過ごしてる。

不安だけど、考えても答えは出ない。

だから、笑って楽しい毎日を過ごす。そうじゃないと不安に押しつぶされちゃうんじゃないかって怖いんだと思う。」




龍之介が珍しく真剣な表情で頷いていた。

彼は人を笑わせるのが好きで、このクラスには欠かせない存在。

でも、龍之介自身は、きっといろんな悩みを抱えているんだ。


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