きゅんきゅん同盟

思い出すね、あの辛い日々。

誰も私に話しかけてくれなかった時期、私は初めて教室が怖いと思ったんだ。




「私も、実習に来てから、ある時期クラスのみんなに話してもらえなかったじゃない?
あの時、すごく1日が長く感じた。休み時間なんてなければいいって思った。

みんなの笑い声を聞いてると、自分の悪口を言ってるんじゃないかって思って、すごく辛かった。」



レナが目をそらす。

そして、もう一度目を合わせ、小さな声で言った。


「本当にごめんね、まこたん」


その声に、何人かの生徒が謝り出した。




「いじめって残酷だって心から思った。いじめてる方は、決して一人じゃない。

いじめられてる方は一人。毎日毎日誰にも声をかけてもらえない人がこの高校のどこかにいるかもしれない。

このクラスにはいじめがないってことはわかってる。

でもこの高校にいじめがないとは思えない。

いじめを受けてる人は、毎朝どんな気持ちで家を出ると思う?

教室に入る前、どんな気持ちだと思う?

2人組に別れなさいと先生に言われたとき、どう思う?

誰も自分に声をかけてくれない。

みんなが自分と組になるのを嫌がってる。

自分の存在ってなんだろうって思うよね。」



一番前で山瀬さんが泣き出した。


「まこたんがあの時かばってくれてすごく嬉しかったんだ。中学の時いじめられてたから、いじめの辛さはわかる。もういじめられたくないって思うし、いじめるのも絶対に嫌…」



山瀬さんの言葉に、みんなが頷いた。


教室に差し込む光が一番端に座る陸の髪を照らす。


陸は何も言わず、ただ私の話をじっと聞いていた。




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