きゅんきゅん同盟


教室の後ろのドアの前に…



「あ!……悪い!」



そこには、Tシャツ姿の陸がいた。



汗をかいているのか、髪が濡れていていつもと雰囲気が違っていた。


かきあげた髪がいつものようにサラリとおでこに落ちてはこなかった。


上がったままの前髪を見て、またドキドキした。



「…自転車の鍵、忘れてるよ。」



これ以上、目を見ることができなくて、視線を陸の席に移した。


「そうそう!!それ、取りに来たんだ。大事なかえでからのクマのキーホルダー忘れちゃってさ。」


陸は、首にかけたタオルで顔の汗を拭きながら、自分の席へ歩く。



かえでちゃんからのプレゼントだったんだ。



下校時刻を知らせるチャイムがもう一度鳴り響く。






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