きゅんきゅん同盟

教室に向かう廊下で、私を追い越していく大きな背中。



クルって振り返って、

「おはよ!」

って…言ってくれたんだ。


眠そうな目で、ニコっと笑うその笑顔にどうしようもなくときめく。



「おはよう!!!神崎陸!」



思わずフルネームで叫んじゃった私。


廊下に響く私の声。


昨日から頭の中で何回も何回も呼んだ名前。



「はははっ!フルネームかよ!里中まこ!」



くしゃくしゃに笑いながら、

そう言った神崎陸。



覚えててくれた。


私の名前。

フルネームで。



笑ってくれた。


やったー!!!!



こんな些細な事で、私の心が喜びで飛び跳ねてる。



次の国語の授業、笑顔で頑張れそうな気がした。


神崎陸が走った廊下の右端を私も歩く。




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