きゅんきゅん同盟
自分の席に座っている神崎陸。
机の中の教科書を乱暴に鞄に詰め込んで…立ち上がる。
あ、こっち見た。
ゆっくりと近付く爽やかな風のような存在。
「お前、大丈夫なの?教育実習の評価とか。城山って教育実習の担当だったよな?」
ちょっと眉間にしわを寄せた真面目な表情。
私を心配してくれる神崎陸に、またときめいた。
「ん~、どうだろう。でも、もう言っちゃったから仕方ないよ。そんなの気にして、良い評価もらっても教育実習の意味ないもん!」
ドキドキがばれないように、精一杯の演技。
わざと、神崎陸から視線をそらす。
「さすが!まこたん、かっちょいい~!」
龍之介の声が廊下にまで響く。
神崎陸は、髪をかきあげ、耳にかける。
優しい目で微笑んで、私の隣の机の上に腰掛けた。
座る私を見下ろす目が、大人っぽくてどうしようもなくドキドキした。
机の上から下りた神崎陸は、私のすぐ横に立つ。
「それならいいけど。俺らの為にサンキューな!」
ちょっと首を傾けながら、私の顔覗きこみながら。
耳にかけた髪がサラリと落ちて、彼のピアスを隠す。
教室のドアを閉める指までもが私をキュンとさせるんだ。