きゅんきゅん同盟


その日の帰りは、なんだか寄り道したくて本屋さんに立ち寄った。

雑誌を立ち読みしながらも、頭の中は彼のことでいっぱいだった。


今日一日で、たくさんの神崎陸を知って、たくさんの彼の笑顔をもらった。


こんなにドキドキしてキュンキュンしたのは、いつぶりだろう。



中学生の時、憧れていた先輩にチョコを渡した時…

あの時よりもドキドキしたかも知れない。



電車も、一駅前で降りて、ゆっくり帰ることにした。




今日一日のことを、思い出しながら歩いた。


どんな気持ちで私のこと追いかけてくれたの?

どうして、抱きしめてくれたの?

このキュンってキモチ…私一生忘れないだろうな。



どこかの家から夕食のいい匂いがしていた。



懐かしいような、田舎のおばあちゃんを思い出すような和食の匂いだった。




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