きゅんきゅん同盟


私がどうして、神崎陸を好きになったのかを考えた。


人を好きになるのに理由なんてないことはわかっていた。



どこが好きかなんてわからないくらい、彼の全部が今は好きだった。



でも、最初に印象に残ったのはあの笑顔かな。

なんて言ったらいいんだろう、あの笑顔。


穏やかで、温かくて、包んでくれるような微笑み。



見ているだけで安心できるような、不安が消えちゃうような笑顔。



誰かに似てるような気がするってずっと思ってた。




誰だろう?


あんな素敵な笑顔の人っていたっけなぁ。


ホッとさせてくれて、「大丈夫だよ」って言ってくれているような包容力のある笑顔。



すっかり暗くなった空を見上げた。



月が遠慮がちに雲から顔を出す。




あ!!!

わかった。


お父さんだ!!


お父さんに似てるんだ。




あの笑顔。



お父さんの笑顔に似ているんだ。


気付いたと同時に胸が熱くなった。



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