きゅんきゅん同盟


よみがえる記憶。




小さい頃、お父さんの自転車の後ろに乗るのが大好きだった。


あんな風にぎゅって背中にくっついてたなぁ。


くっつくと、お父さんの匂いがして、安心したんだ。



あの女の子、誰なんだろう。



神崎陸の子供に見えてしまうのは、彼が大人びた顔をしているから?


お父さんに似ているから?




頭の中ぐちゃぐちゃになっちゃって、

彼に見つかりそうになり、とっさに隠れた。



本当に隠し子だったとしても、ありえない話ではない。



私、何にも知らないんだもんね。


学校から出た神崎陸のこと。



明日、どんな顔して神崎陸に会えばいいんだろう。





今日、抱きしめてくれたあの腕。



あのぬくもり。



思い出すととても近く感じるけれど、

学校を出たら、どんな神崎陸なの?




心の中には、複雑な気持ちがいっぱい溢れていた。



今日のトイレでの出来事と、さっきの光景。




好き。


でも、好きでいていいの?



辛い別れが待ってるだけなのかな。




< 82 / 258 >

この作品をシェア

pagetop