きゅんきゅん同盟
よみがえる記憶。
小さい頃、お父さんの自転車の後ろに乗るのが大好きだった。
あんな風にぎゅって背中にくっついてたなぁ。
くっつくと、お父さんの匂いがして、安心したんだ。
あの女の子、誰なんだろう。
神崎陸の子供に見えてしまうのは、彼が大人びた顔をしているから?
お父さんに似ているから?
頭の中ぐちゃぐちゃになっちゃって、
彼に見つかりそうになり、とっさに隠れた。
本当に隠し子だったとしても、ありえない話ではない。
私、何にも知らないんだもんね。
学校から出た神崎陸のこと。
明日、どんな顔して神崎陸に会えばいいんだろう。
今日、抱きしめてくれたあの腕。
あのぬくもり。
思い出すととても近く感じるけれど、
学校を出たら、どんな神崎陸なの?
心の中には、複雑な気持ちがいっぱい溢れていた。
今日のトイレでの出来事と、さっきの光景。
好き。
でも、好きでいていいの?
辛い別れが待ってるだけなのかな。