きゅんきゅん同盟
匂いでわかる。
誰かが私を抱えた。
間違いなく、彼の腕。
どうやら、運ばれている途中で意識を失ってしまったようだ。
夢を見た。
いい匂いのする陸のせいで、陸の夢を見ていた。
「目覚めたか?」
まだはっきりしない意識の中で、うっすらと目を開けると陸がいた。
「ごめん…私、反射神経にぶくて。」
その時、気づいた。
私の右手…しっかりと握られていた。
陸の両手にすっぽりと包まれた私の手。
「俺の方こそ、ごめん。ちょっとパスでかすぎた。良かった。目、覚めて。」
ホッとした表情で、私を見つめる陸。
「もしかして、ここまで運んでくれたの?」
「おぉ、ぎっくり腰になるかと思ったよ。ははは!うそうそ!軽くてびっくりしたよ。」